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上海市第二中学校(上海視察報告その4)

上海視察の第2日目、最後の訪問先は上海市第二中学校。訪問したのは15時半。ここから予定をオーバーして2時間以上、意見交換をさせて頂きました。この学校も試験中という事情があり、授業見学はできませんでしたが、それでも意見交換が長くなったのは、先方の学校も内情を含めてお話を頂けたからでした。


上海第二中学は徐匯中学と同様、徐匯区にある学校で、こちらは上海市の重点学校です(徐匯中学は徐匯区の重点学校)。3学年、24クラス、生徒数は1200名。1902年に女子学校として創設。来年度創立110年を迎える学校で、調和を重視した教育を実施しています。これは「教師と生徒」「生徒間」「教師間」のそれぞれの調和を重んじると、何度も校長先生の口から出てきました。学校の特徴は科学技術だそうであり、「学生の発明」「ロボット」「車両模型」に力を入れるそうです。この学校も上海でも名門の学校だと思われます。また海外との交流を大切にし、アメリカやドイツ、日本では大阪市内の学校と姉妹校交流を実施しています。この上海第二中学校は日本では高等学校にあたります。

 この学校でも会派で英語を学ぶモチベーションについて聞きました。「学校を離れると中国語という環境。その中で英語を勉強するモチベーションをどう維持しているのか?」。同校の校長先生によると、上海市第二中学でも内向きの子どもたちはいるとのこと。そのため、同校では英語による弁論大会を開催しているとのこと。上海市第三女子中学が芝居と英語を組み合わせているのと同じ発想と思われます。

中国を視察して、4校目の視察校でしたので、会派の議員もポイントを絞って質問することができました。特に校長先生が同校の実情について詳しく説明してくれ、さらに日本の事情についても関心を持っていただいていたので、議論が予定よりも長くなりました。英語教育から議論が少し外れましたが、日本と同じく教育に対し関心の無い保護者をいかに学校に味方をしてもらうかなどは苦労をしているようでした。その解消方法のひとつとして同校では家庭訪問を積極的に取り入れているとのことでした。当然ながら日本でいう高等学校ですので学区が広く、夏休みに超過勤務分は「ボランティア」ですべて生徒の家庭まで足を運ぶそうです。

なぜそこまでするのかといえば、「教師1人で生徒40人」を相手にするのはやはり難しいといいます。しかし「教師1人+両親80人対生徒40人」ならば81対40、そこまで上手くいかなくても家庭にひとりでも学校に良く思ってくれる保護者が増えれば41対40だと説明してくれました。

私も日本の中学校で担任教師として家庭訪問をしていましたが、このような1対40、81対40という明確な数字の概念を持っていなかったので中国の考え方は勉強になりました。とても簡単な算数ですが意外と横浜市が抱える教育問題解決のヒントかもしれません。

その頻度も驚きで、担任の先生が生徒40家庭を訪問するのではなく、教科担任が教えている全ての生徒の家庭に家庭訪問するそうです。1教師約200家庭位です。ですから夏休みを利用して汗だくになりながら家庭を回ると苦労話もきかせていただきました。

 

 今回の視察に関して、団のHP等改めて総括をする機会を持ちたいと思いますが、現時点での考察を簡単にまとめたいと思います。

 中国の教育・社会システムの特徴

①社会システムとして学校長に権限が委譲されている。

 ・日本の公立学校に比べ、教員の勤務する学校に対する思いが強い。

 ・教師も生徒も実力主義、能力主義である。

中国の公立学校はシステムとして日本の私立学校に近いと思います。それぞれ学校ごとに特色を持ち、教育に熱心であり、教師の人事に関して権限が学校にあるからです。全て中国のシステムがいいとはもちろん思いませんが、合理的であり、日本においても参考にすべきところはあると思います。

 ②英語教育でも合理的である。

 ・英語を使ってビジネスをする環境が上海にはある。

 ・センター試験で重視されているのも「英語」、「中国語」「数学」と配点が同じ。

 ・「話す」「聞く」に英語教育の重点が置かれている。

 ・時間の使い方、教材の使い方も合理的である。

 ・宿題が多い。

 日本の英語教育と明らかに違う点は、英語教育の内容。日本は「読み」「書き」重視。このため教師が黒板に板書する時間がかかりますし、生徒がノートに写す時間もかかる。その点中国が重視するのは「話す」「聞く」。そのため教室ではプロジェクターもパワーポイントも英字新聞も使います。教材によってはインターネットの利用により同じ教材も共有するでしょう。とにかく合理的にシステムとして英語の授業が進むと感じました。

 ③英語を学ぶことの動機づけに工夫をする

 ・留学経験のある教師や大学院修了の教師の採用。

 ・教師になってからの海外留学制度の採用。

 ・生徒たちのホームスティのサポート。

 ・英語が身近にある環境。海外の文化に触れる機会を教員が積極的に促す。

 ②とも何点かは重なりますが、教師側も積極的に英語に触れる人材が集まり、生涯それを生かす仕組みが上手く出来上がりつつあると感じます。上海という場所も外国人と触れ合う機会が多く、かなり地の理があります。香港やシンガポールの学校と交換留学、ホームスティなど日本と比べ学習した結果を試す場所機会が多いと感じました。

 まとめ

まず横浜市がどのような教育問題を抱えているか、正しく把握しないままに、今回の視察結果のみで語るのは大変危険であるのは重々承知しています。しかしながら同じく英語を母国語としない日本と中国で良い取り組みが中国でもあるのならば、ここ横浜市においても積極的に提唱はしていきたいと考えます。学校長への人事権委譲などは日本の法制度では早急に対応は難しいので、横浜市でもできそうな改善点を羅列してまとめに変えたいと思います。

①教材の共用をし、英語の授業そのものの質を高める。

②視聴覚教材の今以上の利用。そのためにプロジェクターの天井吊りの実施。

③宿題の量を増やす。

④家庭教育の充実と家庭訪問等、家庭の協力を今以上得る活動の改善。

⑤ホームスティ、海外修学旅行の実施。

⑥横浜市英語教諭の海外留学。海外研修

⑦外国人講師に頼らない、小学校英語活動の実施。

⑧公教育として英語教育のゴールの正しい設定。

⑨意味のある、中間評価。(英語の授業中何度発言したか、授業中起きているか、漫画を読んでいないか、ガムは噛んでいないか、携帯を持ってきていないか、ノートが綺麗かは全く意味をもたない。)

 以上、私のかなり私見が入った提言ですので、視察を共にした議員と内容は精査が必要ですが、「児童・生徒の海外修学旅行」以外は予算がそれほどかかるものではないので、まじめに議論をしていきたいと思います。

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