2022年11月9日~11日まで行政視察に行ってきましたのでご報告です。
以下報告書の内容になります。

視察都市等及び査察項目:
  大田区:不登校特例校について
  佐賀市:二酸化炭素分離回収事業について
  周南市:防災情報システムについて

◆大田区
 面積:61.86㎢
 人口:729,873人(令和4年(2022年)6月1日現在)
 世帯数:401,711世帯
 区の誕生:昭和22年(1947年)3月15日
◆不登校特例校について
 大田区では「大田区不登校対策アクションプラン(令和3年度~5年度)」を策定した。具体的な取り組みの一つとして大田区立御園中学校分教室不登校特例校みらい学園中等部を令和3年4月に開校させた。
 この中等部の特徴としてまず、文教室に入室することができる生徒は、(1)大田区立中学校に在籍している生徒、(2)心理的に不安の傾向があり、連続または継続して30日以上の長期欠席の生徒(病気又は経済的な理由を除く)、(3)大田区教育委員会分教室入退室検討委員会が適当と認めた生徒、である。
教育の特色として(1)教育課程では標準的な各学年の授業時間数1,015時間を980時間に削減し、通常の学級の投稿時間を避け、周りを気にせず安心して登校できるよう午前3単位時間、午後2単位時間を基本に設定。(2)生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身につけていくことができるよう、総合的な学習の時間と特別活動の合科による「キャリア教育」を実施している。
 概要の簡単な説明のあと各学年の授業の様子や教職員室や保健室など学校の施設について、指導主事の方と統括教諭の説明といっしょに見学することができた。
 分教室の定員は24名(各学年8名ずつ)と当初の計画では予定されていたが、視察した11月9日現在1年生7名、2年生9名、3年生8名在籍であった。
 1学年は小テストを授業で実施していたため授業の様子を見ることはできなかったが、2学年の実技実習室で美術、3学年の教室での国語の授業の様子を見学できた。
 統括教諭からも授業見学前に本教室の生徒は視察に慣れていて、生徒と会話することも特に問題はないと伝えられていたが、実際2年3年の多くの生徒が私たち常任委員会メンバーの見学を温かく迎えてくれた。
 施設や授業の見学のあと会議室にて指導主事と総括教諭からこの分教室立ち上げから、現在の現状並びに今後の展開など質疑応答をすることができた。
 まず分教室の開学にあたって地域の方から不登校生徒に対する不安の声も全くなかった訳ではないが、それは地域の不登校生徒に対するイメージ(問題行動等)からくるもので、現在そのような心配の声は届いていないと理解した。
 文教室の特徴としても挙げたが、「キャリア教育」等に力を入れており、また各学年8名程度の少人数学級の指導によって、不登校であった児童・生徒がこの分教室では8割から8割後半の登校率を保っていると説明があった。
 施設の見学の際にフリースペースの壁に掲示されていた現分教室生徒から大田区の小学生にむけての手紙が印象的で、生徒達は楽しく学んでいて環境が変わることによって、不登校、長期欠席が改善されていることが理解できた。
 あくまで分教室の1学年1学級という法律上の定義により、分教室の定数は8名を基準に考えているが、例え1学年9名に増えても学級増という扱いにはならず、都費負担教職員、つまり正規職員は3名の配当ということも質疑応答から理解できた。今後横須賀市でも参考にできる点であると私は感じた。
 また、実施計画書等では「みらい教室」という名前も使われていますが、現在「みらい学園中等部」とあり、指導主事の説明からも令和6年度を目途に初等部の開学予定もあることも説明があった。初等部の基本計画・基本設計も進んでおり、視察の所感からだけでなく、大田区としてもみらい学園中等部の取り組みや成果について同様に高く評価していることが推測される。
 特例校でもあり、財政規模からしても本市が今すぐにこの取り組みをそっくりそのまま持ってくることは難しいが、この前段となる「大田区不登校対策アクションプラン(令和3年度~5年度)」の中には大変勉強になる内容が多く含まれていることが理解できた。是非委員会など教育委員会所管事項などで、本市執行部とも大田区の取り組みについて情報交換等図っていきたいと感じた。


◆佐賀市
 面積:431.82㎢
 人口:229,433人(令和4年(2022年)3月末現在)
 世帯数:102,377世帯
 市政施行:平成17年(2005年)10月1日
◆二酸化炭素分離回収事業について
 佐賀市の二酸化炭素分離回収事業では、ごみ焼却施設で、ごみを焼却した際に発生する排ガスから二酸化炭素のみを分離回収する日本初のCCUプラント(※)が平成28年8月から稼働。(※CCU=Carbon dioxide Capture and Utilization:二酸化炭素の分離回収による利活用)回収した二酸化炭素を野菜や藻類培養に利用するため、本CCUプラントの隣接企業に二酸化炭素を供給している。
 佐賀市清掃工場にて、このプラントの設置運用の経緯や今後の展開そして、プラントの様子や屋上より近隣施設の様子を視察した。
 まず、二酸化炭素回収事業は佐賀市が目指す「バイオマス産業都市」への具体的取り組みである。今回視察した佐賀市清掃工場は平成15年に稼働されたが、その後平成の大合併が平成17年10月と2平成19年10月にあり1市6町1村が現佐賀市になる過程で、4つの清掃工場が佐賀市清掃工場1つに集約される過程で「価値をもたらす施設」へと転換させる過程において生まれたものであると理解した。
 本視察の担当職員の方の説明によれば、たまたま佐賀市清掃工場は現佐賀市のほぼ中心にあり、結果的にはごみ収集や焼却には効率の良い立地といえるが、市町村合併前から住む清掃工場周辺に住む市民からはなぜ、合併前の市町村のごみをこの清掃工場で処理しなくてはいけないのかという率直な感想もあったようである。そこで、前述の通り周辺施設に産業や雇用を呼び込む施設へとの転換が各種図られたようである。
 佐賀市では清掃工場の取り組みと下水浄化センターの取り組みを一つにし事業を展開、バイオマスにも積極的に取り組み、2014年11月「バイオマス産業都市」に認定された。
今回の視察の座学では二酸化炭素分離回収事業だけでなく、清掃工場を拠点としたバイオマスの取り組みと佐賀市バイオマス事業の全体相関図、そして企業間の連携などかなり大きな課題テーマをわかりやすくご説明いただけた。
結論から申し上げますと、二酸化炭素分離回収事業として単年度の財政的な収支のみで判断すると費用を収益で賄えているものではない事が説明から理解できた。しかし、地球環境への影響や地域経済や企業間連携の橋渡し役、二酸化炭素分離回収によって生まれた産業や雇用まで広く経済効果を考慮にいれると佐賀市民、佐賀市議会の理解を十分に得られているものだと判断できた。
説明によれば初期費用に約15億、年間の薬剤など消耗品にかかわる費用が約2,400万円に対し、売り二酸化炭素の収入はそれに満たないらしいが、雇用創出などこれまでの経済効果は約54億円だそうである。これらの詳しい財政状況の資料は手元にない。
担当課の説明にもあったが、平成28年から日本初、後付けのCCUプラントが稼働しており、その後環境事業に先進的なオランダからの視察者からの発言によれば、性格に確かめてはいないが、ごみ処理施設から二酸化炭素を有効かつようするこのプラントは世界初かもしれないとの事であった。
現在人間が活動していく中で発生する二酸化炭素の取り扱いや行先に注目が集められており、佐賀市のこの社会生活で発生するごみを焼却する際発生してしまう、二酸化炭素を有効活用できるこのシステムがモデルケースになって日本国内や世界に広がっていく事になれば大変喜ばしいことだと思った。
現時点で単年度のみを切り取れば、費用の問題は確かにあるが付加価値が既に創出されており、また環境問題を考えれば費用以上に大きな可能性を含んでおりこのような取り組み、事業を行政が率先していく事は必要であると感じた。本市においてもその姿勢や民間業者の相談役として信頼されている様子など見習いたい部分多くあった視察であった。

◆周南市
 面積:656.29㎢
 人口:138,360人(令和4年(2022年)10月末現在)
 世帯数:68,182世帯
 市政施行:平成15年(2003年)4月21日
◆防災情報システムについて
 周南市では、平成31年3月に災害情報をリアルタイムに一元化し、庁内で即共有できるシステムを入。J-ALERT、河川の監視カメラ、防災行政無線の放送履歴といった災害情報を災害対策本部のモニターに一覧表示。さらに、GISを活用して、ハザードマップの危険箇所や被害の発生場所といった位置情報をリアルタイムに、かつ一元化して災害対策本部で確認。これらの情報は専用端末などを通じて各支所や現場職員にスピーディに伝達できる。
 周南市の職員の方の説明にもあったが、周南市の山間部があり海が近くにある地理的特徴は本市とも似ている個所があると感じた。
 防災情報システムは令和元年に完成したが、計画の話は平成24年ころよりあり、平成26年・27年に基本設計と実施設計後平成28年から平成30年度に整備が進められた。
 視察では担当職員の方の説明の後、質疑応答が行われ、その後市役所の屋上にある各種設備と、防災対策室にある大型モニター(98インチ)で各種情報の様子を見ることができた。
 計画自体は平成24年ころから出始めたということであり、自然災害などの脅威はいつ何時、そしてこれは本市にとっても同じことであると考えられる。防災情報システムのフル稼働が令和元年からであったが、その前年平成30年の7月の豪雨であり、職員の皆様も与えられた条件のもと最大限の努力をしたのではないでしょうか。
 この災害自体痛ましかったが、この経験は確実に職員にも市民にも蓄積されているようである。また防災無線やデジタル機器だけではカバーしきれないので、コミュニティーFM放送システムも周南市では提供している。具体的には防災ラジオを1台2,000円で販売し、令和4年7月現在3,881台を配布している。
 単純な高齢化率などで判断できるものではないが、デジタルだけでなくアナログ的なものも合わせて対応することは、改めて本市の防災体制を構築・向上していく上で必要なことだと視察を通じて再認識することができた。

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