6月定例議会、一般質問

6月3日、6月定例議会2日目一般質問で登壇し、上地市長と新倉教育長に質問しましたので、質問全文を掲載します。以下質問内容です。

 本年3月24日に成立した令和3年度予算は、4・5月の臨時議会での補正も受けコロナ禍の中、執行されています。振り返れば、昨年2月から新型コロナウイルス感染症に対する、本市の対応は機動的でありました。限られた予算ではありますが、その中で最大限効果が発揮されるように、またお困りの市民に支援の手が届くように、そして状況が速やかに改善されるように既に合計7回の臨時議会も開催されました。
 例を挙げれば、国よりも早く家賃補助のスキームを組み、まずは財政調整基金を原資にして新型コロナウイルス感染症緊急対策基金を創設しその対応に当たりました。また横須賀市医師会とも協力し県内でいち早くPCRセンターを立ち上げ、対応に当たったこと。さらには濃厚接触者の追跡調査を何とか踏ん張り、横須賀モデルを死守していることや先月臨時議会に上程された「地域療養の神奈川モデル」を藤沢、鎌倉に続き県内3か所目で運用することなど、まだまだたくさんの事例があります。コロナ対応の陣頭に立ち、横須賀市民の命と健康そして、安心・安全のためご尽力していただいている上地市長に率直に感謝致します。
 その原動力の一つとなった横須賀市の財政について、とりわけ本年度計画の満期を迎える「第3次横須賀市財政基本計画」をもとに質問します。令和3年度予算編成の基本的な考え方では「コロナ禍による市税の減収等で横須賀市の財政運営は厳しさを増していますが、内部管理コストを徹底的に見直すことなどで財源を捻出し、(市民生活と地域経済を支えるとともに、ダメージを受けた経済の回復に向けて、様々な仕掛けづくりと準備を行うことを念頭に、以下のとおり)予算を編成しました」とされています。経済的に困難な状況となっている市民生活と、低迷する地域経済をしっかりと支えていくために予算が組まれた事は理解します。しかし、第3次財政基本計画、平成30年度~令和3年度の4か年をまとめて計画と比較すると、「財政調整基金残高」「市債(通常債)借入額目標目安」「経常収支比率」など、見通しや目標をクリアできなかった項目が散見されます。
 そこで、第3次横須賀市財政基本計画最終年度までの評価についてお伺いします。

 次に、令和6年度の当初予算編成への対応についてお伺いします。第3次横須賀市財政基本計画の中では、令和9年度までの財政収支見通しの分析がされています。プラスの要因を先に挙げますと、令和8年度以降は、電力事業者による新たな設備投資に伴う市税収入の増加や、長井海の手公園の開園のために借り入れた市債の返済完了による市債返済額の減少などによって、財源不足額は減る見込みとされています。
 しかし、令和4年度にはエコミル建設のために借り入れた市債の返済額が増えること、令和5年度から7年度にかけては市債返済額の増加、繰出金の増加、再編交付金の交付が令和4年度で終了することによる、市単独経費の増加等財源不足額が増える見込みとされています。財源不足によって直接的に影響を受ける財政調整基金の残高の見込みにも触れられていますが、平成30年当時は令和6年度に財政調整基金が枯渇し、当初予算が組めない恐れに言及されていましたが、状況は改善ではなく、悪化しています。
 そこで、この令和6年度当初予算編成に向けた対応についてお伺いします。

 次に、第3次横須賀市財政基本計画では、(P52)平成30年当時から「事業の見直しに取り組み」、「単年度収支の改善」の必要性をうたっていました。計画によると令和4年度、つまりは来年度予算から毎年度6億円の財源不足額の削減によって収支は均衡すると試算されています。しかし状況はかんばしくなく令和4年度、財政調整基金前年度末基金残高の差額約36億円をさらに加算すると毎年度8~10億円の収支改善が必要ではないかと考えられます。令和3年度を基点とした場合令和7年度は40億円近く収支改善をしなければならないと試算できてしまいます。
 そこで、第4次財政基本計画の計画内容の強化、財源不足額の圧縮についてお伺いします。

 次に後年度の財政運営を安定的に行うための指標のひとつ、市債(通常債)借入額についてお聞きします。平成30年度から令和3年度までの4年間を一つの期間として捉えたときに市債新規借り入れ500億円以内とする目安額を約44億上回り実現できませんでした。500億円という額は、将来の返済が過度な負担とならないようにコントロールすることを考慮した額でありましたが、むしろ将来の負担が平成30年よりも重くなる恐れがあるとされる560億円に近い金額でありました。
 そこで、今後の市債発行上限額についての考え方をお伺いします。

 最後に、結果論ですが私は、この「第3次横須賀市財政基本計画」は良くできた計画であると考えています。皮肉にも平成30年の時点で今後4年間の財政収支見通し、中長期の財政見通し、及び財政運営の指標を悪い予測のほうで当ててしまったからです。台風15号、19号の影響、新型コロナウイルスに伴う社会変化などは勿論市がコントロールできる範囲ではないことは理解します。しかしながら、例えば新規市債発行額などは市長の財政規律に対する思いやご指示からある程度は制御ができる指標だと私は考えています。
 今後の4年間、基本計画の拘束力及び横須賀市の財政規律はどうあるべきかという観点でお伺いします。

 次に教育条件整備について順次伺ってまいります。本年3月に教育委員会より「横須賀市学校施設の長寿命化計画」が出され、予算決算常任委員会教育福祉分科会でもこの内容について詳しく議論が交わされていました。学校施設の長寿命化計画の背景・目的は、本市の延床面積で約130万㎡にのぼる公共建築物の40%以上を学校施設が占めること、その学校施設の大規模改修や建替えの時期が一時期に集中されることが想定されることであります。
 そして何より根本的な問題として先に質問した通り令和4年度以降も慢性的に本市の財源不足が続くことが1ページ目より述べられています。この計画自体必要な事でありますし、長期的な見通しを持って教育委員会だけの問題とせず各部とも連携をとって限られた予算を有効的に執行していただきたいと思います。そして、この計画は主に施設に関する具体的な費用や評価方法が述べられています。
 私はこの計画を運用しつつ、今現在、学校現場で行われている施設の有効活用について質問致してまいります。はじめに、学級数のピークと余裕教室の有効活用方法についてです。この計画の中では児童・生徒の推移にも触れられており、資料等によれば、小学校学級数のピークはS56(1,169学級、46学校)とされています。令和2年度現在小学校では46校:755学級であり、単純比較はできませんがピーク時よりも小学校には本市全体で約410近い余裕教室があり、学校あたり9教室近く普通教室のスペースに余裕があるのではないかと推測されます。もちろん昭和56年当時とカリキュラムや学校施設に対する考え方も違いますので、余裕教室を更衣室としての使用や、少人数や個別支援に係る教室にレイアウト変更がされているケースがあるのは理解できます。
 しかしながら建設当初の学級規模から比較すると、各学校のスペースに現状、ゆとりがあると考えられます。
 そこで、小・中学校の余裕教室における有効活用の指針の存否、なければその有効性について教育長にお伺いします。
 あわせて、余裕教室の実態調査について教育委員会事務局が主体的により精緻に行うべきと考えますが、教育長のご見解をお伺いします。

 次にとりわけ中学校における学力向上等に資する各施策について質問して参ります。まず、令和3年度以降の横須賀市立中学校における学力向上の大きな柱は何になるのかを考えたいと思います。令和3年度が学校にとってはGIGAスクール構想の実現や義務教育ICT化など文字通りデジタル的な進捗、進歩がみられる年であることは間違いないと考えています。
 私はデジタル化を進める中でも、決して忘れてはならないことの一つとしては、基礎・基本の徹底ではないかと考えています。デジタルの対比で表現しますがいわばアナログ的な、今までそしてこれからも大事にされるべき事はおろそかにすることなく、引き続き注力や支援をしていっていただきたいと考えます。具体的には「学校図書館」の利活用です。
 まず近年の動きとしてH26年に学校図書館法が改正されました。改正法の趣旨として、「学校教育において,児童生徒の確かな学力の育成には,言語活動や探求的な学習の充実が必要であり,同時に,読書活動等を通じて児童生徒の豊かな人間性を形成していくことが求められている。これらの活動の充実のためには,学校図書館が利活用できるよう,整備を進めることが重要である。」とされています。
 続けて「改正法は,この重要性に鑑み,学校図書館の運営の改善及び向上を図り,児童生徒及び教員による利用の一層の促進に資するため,司書教諭等と連携しながら,その機能向上の役割を担う専ら学校図書館の事務に従事する職員を学校司書として位置付け」第6条では「(学校には,司書教諭のほか,学校図書館の運営の改善及び向上を図り,児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため,)専ら学校図書館の職務に従事する職員(学校司書)を置くよう努めなければならないこと」が規定されました。そのための予算措置として、文部科学省はH29年に学校図書館等整備等5か年計画として令和3年までに5か年計約2,350億円(単年度約470億円)の地方財政措置を行っています。学校司書に関しても5か年で1,100億円(単年度約220億円)予算措置され、公益財団法人全国学校図書館協議会の資料によればこれは<小・中学校等の概ね1.5校に1名程度の配置>が可能になる予算であります。
 しかしながら、ご存じの通り学校司書はH30年より横須賀市立中学校では23校中8校のみの配置に留まっております。
 そこで、学校図書館法の趣旨や財源措置、近隣市の状況、また本市の学力向上の観点から考えても、中学校にも学校司書全校配置を速やかに行うべきと考えますが、教育長のご見解をお伺いします。

 昨年私の所にも、横須賀市内のある中学校の学校図書館の利活用状況について、中学校の卒業生の保護者からご相談を受けました。ご存じのように中学校は教科担任制でありますが、おそらくこの中学校の学校図書関係の担当教諭は学級担任・部活動指導・生徒会指導・その中で学校図書館の担当もしていたようです。これは経験も含めて推測しますが、毎日の授業の準備、学級担任としての教室の整理整頓だけでなく、部活動指導や生徒会指導である意味オーバーワークであり、ながらく学校図書館の環境整備は2の次になっていたようです。つまり学校図書館が昼休みに開館されないことが常にあり、またお世辞にも綺麗に使えるような状態ではなかったと伺っています。現在では卒業生の保護者の献身的なボランティア活動により数年をかけてこの中学校の学校図書館の機能は元に戻す事ができたと認識しています。私も公立中学校にいて、一人で6教室の管理や土日の部活指導の担当をしていた教師を存じていますので、先ほどの学校図書館をめぐる状況はまだまだ学校にはあるのではないかと心配してしまいます。
 そこで、中学校における「学校図書館」の利活用状況について現地調査をし、利活用を促す事で、横須賀市内中学生の不読率の改善にも繋がると考えますが、教育長のご見解をお伺いします。

 最後に外国語教育の現状について伺います。令和元年9月定例議会において、私は5ラウンドシステムの導入によって、教職員の負担も少なく、より実践的な英語教育ができるのではないかという主旨で何問か質問致しました。この5ラウンドシステムによる英語教育の大きな特徴は、同じ教科書を年間5回繰り返し、段階的に理解を深めていくことと、今までの英語学習よりもインプット(聞く・読む)の質と量をかなり意図的に高めることで、アウトプット(話す・書く)の能力も効率的に鍛えていることです。その中で教育長は「現行の授業方法の中にどのように取り組んでいくのか、そこを研究させていただきたい」とご答弁されました。
 本年3月の予算決算常任委員会教育福祉分科会の部局別審査の中でも英検3級の取得率の現状についても質疑がなされていました。2年前にご紹介した通り、5ラウンドシステムを授業に取り入れている学校では文部科学省の目標値よりも遥かに高い結果が出ています。繰り返しになりますが、この「5ラウンドシステム」は教科書を主教材として使うため何か特別な財源措置も必要なく、また授業準備の負担も軽いと伺っています。何より生徒にとって使える英語が確実に身につくことそれ自体がとても良いと考えています。
 そこで、この5ラウンドシステムは現行の授業方法の中にどのように取り組んでいくのか研究の結果と、どのように生かされているのかを教育長にお伺いします。   

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